関節痛
関節とは骨と骨の連結部分のこと。骨の先端には軟骨があり、骨に栄養を与えたり、クッションの役割を果たしたりしています。また関節は関節包という袋に覆われ、その中は関節液という粘液があり軟骨を守っています。さらに、関節の周囲には腱や筋肉が存在しています。こうした軟骨や腱、筋肉などに問題がなければ、関節がスムーズに動きますが、どれか一つでも問題が起きると関節に痛みが出たり、場合によっては動きが妨げられたり、腫れたりします。関節の痛みを起こす病気は、変形性関節症、関節リウマチ、痛風、骨のがんなどいくつかありますが、多くは使い過ぎや加齢による変形性関節症です。
関節痛を漢方薬で和らげよう!
漢方には「気・血・水(き・けつ・すい)」という考え方があります。関節の痛みはこのうちの水の異常、「水毒」を呈しており、その原因として気の異常や血の異常が起きているととらえています。 そこでまずは水毒を改善させる「利水薬」というタイプの漢方薬が用いられます。利水薬にもいろいろあるため、その人の体質や関節の症状、そのほかの全身症状などを診ながら、適したものが処方されます。
関節の痛みに用いられる代表的な漢方薬 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)、ヨク苡仁湯(よくいにんとう)、麻杏ヨク甘湯(まきょうよくかんとう)、桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)、大防風湯(だいぼうふうとう)、真武湯(しんぶとう)、五積散(ごしゃくさん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)、疎経活血湯(そけいかっけつとう)、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)など
関節痛の中で発症頻度が高いのは、変形性膝関節症です。中年以降の女性に多発し、その多くに肥満が見られますが、更年期以降のホルモン環境の変化により骨変性や肥満による骨負担も関与しています。
漢方では、骨の変形、肥満、冷えを考えます。また痛みの原因は、「不栄則痛=体のエネルギー不足により機能低下し疼痛が起こる」と「不通則痛=寒冷や湿気で、気と血の流れが悪くなり痛む」と考えます。補腎(腎と骨は密接な関係がある)や温補、去湿などの処方で改善します。 |