つわり
妊娠初期に現れる吐き気や嘔吐(おうと)、むかつき、食欲不振などをつわり(妊娠悪阻:にんしんおそ)と言い、妊婦の50〜80パーセントに見られます。原因はよく分かっていませんが、代謝やホルモンの変化のほか、不安や環境の変化などによるストレスなど精神的なものも関係しているようです。 妊娠中は使えない西洋薬が多いことから、漢方治療を行うことが少なくありません。 漢方医学でつわりは、水毒(すいどく:水分が体内に溜まっている状態)や気逆(きぎゃく:気の流れが逆行している状態)、気滞(きたい:気の流れが障害された状態)によって生じると考えられています。そのため小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)、半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)などの利水作用のある漢方薬や、気の流れを整える漢方薬を使って症状をとっていきます。
漢方でつわりに対処する
漢方薬は白湯(さゆ)に溶かして飲んだ方がよいとされていますが、吐き気があるときは冷水で少しずつ何回かに分けて服用したほうが、飲みやすいようです。
いずれにしても、妊娠中の薬の服用は、たとえ漢方薬であっても慎重にならなければいけません。漢方薬を構成する生薬の中には妊娠時に服用しないほうがいいものもあるためです。決して自己判断では飲まず、必ず担当医に相談するようにしましょう。 <半夏> 半夏とは、サトイモ科のカラスビシャクの根茎の外皮を除去し乾燥したもの。 嘔吐を抑制、また唾液分泌促進作用がある。 <茯苓> 茯苓はサルノコシカケ科のマツホドの菌核をそのまま乾燥したもの。 利尿作用、鎮痛、健胃消化、鎮吐などなど。 <生姜> ショウガ科ショウガの根茎を湯通しした後,コルク層を取去り煮沸して乾燥したもの。 鎮吐作用、鎮痛作用、唾液分泌促進作用などなど。 <厚朴> モクレン科のホオノキの樹皮。 (中国では基原種を異にする唐厚朴が使用)腹部膨満感、腹痛、咳などに用いられる。 <蘇葉(紫蘇葉)> シソ科のシソまたはチリメンジソの葉。 発汗、解熱、鎮咳、鎮痛薬として、気管支炎、胃腸炎などに去痰、消化促進の目的で応用。
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