がんになりやすい食生活、なりにくい食生活(2)
●加工肉・赤肉とがん発生リスク 欧米で行われた多くのコホート研究では、加工肉(ハム・ソーセージ・ベーコンなど)や赤肉(牛・豚・羊などの肉)の摂取量が多い人ほど、大腸がんになりやすいことがわかっています。可能性のある理由として、加工・保存の過程で発がん物質が生成される、フリーラジカル(*)の産生を促進する鉄が多く含まれる、加熱調理の過程で発がん物質が生成される、エネルギーの高い脂肪が多く含まれる――などです。 これらの摂取は控えめにすることがすすめられます。加工肉は最小限にとどめ、赤肉は1日に71g未満を目安にしましょう。但し、日本人の平均は47g程度のため、多くの日本人は、制限をする必要がないものと思われます。 (*)フリーラジカルとは、電子が1対になっていないために、他の分子から電子を奪い取る力が高まっている原子や分子の総称。活性酸素もその一つ。
●発がんリスクとして疑わしい要因への対処 「確実あるいは可能性が高い」とわかっていないまでも、発がんのリスク要因と疑われているものは、生活の利便性や嗜好(しこう)とのバランスを考えつつ、なるべく避けたほうがよいでしょう。発がんのリスク要因として疑われているものに、動物性脂肪、肉の焼け焦げなどがあります。
●がん予防効果の可能性があるものの利用 がん予防効果の可能性があるとされるものは、不足しないようにとるようにしましょう。現在、多くの研究で予防効果の可能性があるとされているものに、食物繊維、大豆イソフラボン、カルシウム、ビタミンD、ビタミンC、カロテノイド、ミネラル、コーヒー、緑茶などがあります。 たとえば、食物繊維は大腸がん、大豆イソフラボンは乳がん、コーヒーは肝臓がんや子宮体がん、緑茶は胃がんなどのように、各種の成分や食品が、がんの発生リスクを下げることが期待されています
●サプリメント利用の注意点 がんの予防効果が証明されたサプリメントは、現状では存在しません。栄養成分は、食事からとることが基本で、むしろサプリメントにより特定の成分をとりすぎないよう注意が必要です。 高用量のβ-カロテンやビタミンEのサプリメントが、がんや健康障害のリスクを高めることがわかっています。
がん予防のために、あれもダメ、これもダメという食生活を送るのではなく、適度な量とバランスの範囲内で、いろいろな食材を多様な調理法で食べることが、豊かな食生活を送ることだ! |